目黒区出身 公認会計士 目黒の未来を考える

山村 まい -Official Web Site-

国・東京都の方針 子どもを守る

誰一人取り残されない学びの保障(不登校対策)

こんにちは、山村まいです。ついに新年度になりましたね。

小学校・中学校に入学されたみなさま、保護者のみなさま、おめでとうございます!

息子は上の学年の子たちが卒園してしまい、しょんぼりしてますが…新しいクラスも楽しんでくれるといいなぁと思います。

さて新年度が始まるタイミングで文部科学省から “誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について” と、 “いじめ重大事態に関する国への報告について(依頼)” の発表がありました。

本記事では不登校対策について紹介してみたいと思います。

不登校者数は30万人と増加中!

令和3年度における日本の小中学校の不登校者数は24.5万人、高等学校も含めると30万人となっています(病気や経済的な理由ではなく年間30日以上欠席した子が “不登校” とされています)。

ちなみに目黒区でも不登校は年々 増加しており、平成29年度 94人 から令和3年度 219人 と倍増しています。※目黒区 教育支援課 資料より

不登校者数が増えていることは、一見すると悪いことのように思う方もいるかもしれません。

しかし、心や体のSOSサインを無視して登校することのほうが危険は大きく、SOSサインを受け止めて学校に行かないと決められた という点で素晴らしいことだと私は思います。

また 不登校者数が多い=悪 という決めつけにより、学校や先生が「無理にでも登校させようとする」ことは避けなければなりません。

不登校対策は、「登校させること」をゴールにするのではなく、「学校以外で学べる選択肢を増やす」「学校以外での学びを評価する」等により、不登校であっても安心できる環境構築をゴールにするべきと考えます。

不登校対策 COCOLOプラン

では、文科省が発表した不登校対策(COCOLOプラン)の内容を確認してみましょう。

1.学ぶための環境の整備

2.不登校児童生徒の保護者への支援

3.早期発見・早期支援のための関係機関の連携

4.学校の風土の「見える化」

1.学ぶための環境の整備

①不登校特例校の設置

現在、不登校特例校は全国で21校あります。COCOLOプランでは、居住地に関わらず希望すれば不登校特例校に通えるように全都道府県・政令指定都市で300校の設置を目指すことが示されています。不登校特例校を設置するための補助事業、また不登校特例校を設置・運営するにあたって実績を有する者をアドバイザーとして派遣することも予定している とのことです。

不登校特例校といえば、岐阜県 バーバパパのがっこう が有名ですね。普通の学校は “生徒が学校に合わせる” ことが多いですが、バーバパパのがっこうは “子どもが自分で選べる” ことを大事にしています。

普通の学校では感覚過敏などの苦痛により学べない子どもたちにとって、自分のペースが守られる学校が増えて、学びの場として選択できるようになることは素晴らしいことだと思います。

②校内教育支援センターの設置

クラスの教室には入ることができないけれど、落ち着いた空間で自分に合ったペースであれば学習・生活できる子がいます。COCOLOプランでは、支援スタッフ・学校ボランティアと空き教室を利用した校内教育支援センターを設置することが望ましい と示されています。

クラスの教室は人が多いため、感覚過敏のお子さんですと “音が怖い/耐えられない” というケースは多く、そこに存在するだけでも多大なエネルギーを消費してしまいます。落ち着いた空間で静かに過ごせるならば、その辛さはだいぶ軽減されますので、ぜひとも各校で対応していただきたいと思います。

③教育支援センターの支援機能の強化

教育支援センター(旧 適応指導教室)というのは、もともとは「学校復帰」を目的として設置されましたが、現在は「社会的自立」を目的とした公的機関になります。COCOLOプランでは、さらに教育支援センターでは、児童生徒本人への支援だけではなく、保護者の相談場所となり、他の学びの場や居場所につながるような支援も期待している と示されています。

民間やNPOのフリースクールとの連携して包括的な支援をしよう、という取り組みですね。

④教室外での学習成果の適切な評価

学校では授業を受けられなくても、オンライン授業や教材によって自宅学習できるお子さんもいます。

ところが現状においては、コロナ渦においてオンライン授業が取り入れられた際、不登校のお子さんはオンライン授業の提示がなかった(不登校だから授業を受ける権利がないとされた)事案や、自宅学習をしていても出席日数に反映されずに進学できない(勉強はできるにも関わらず、公立中学から都立高校に進学できない)事案など、合理的とはいえないケースが起きています。

COCOLOプランでは、一定の要件のもと、教室外での学習成果について出席扱いするとともに成績評価に反映することを示されています。

もともとが合理的とはいえない状況でしたので、これは必ず実施すべきと思います。

⑤柔軟な学級替えや転校の対応

COCOLOプランでは、いじめや教員による体罰によって学校に通えなくなった場合、問題の解決に真剣に取り組んだ上で、クラス替えや転校も活用できるようにすること と示されています。

こちらについては、少し違和感を覚えます。

・いじめや教員による体罰によって学校に通えなくなった場合、加害者側を追放するべき

・いじめや教員による体罰といった要因に関わらず、希望に応じて学区外の転校は認められるべき

と、私は思います。

⑥高等学校の生徒を含めた支援

義務教育である小学校・中学校まではスクールカウンセラーなどの支援がありますが、高等学校からは公的な支援がなくなります。COCOLOプランでは、令和5年度よりスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのオンライン支援によって高等学校に進学した生徒への支援を予定している と示されています。

⑦中学校での学び直し

COCOLOプランでは、不登校によって実質的に義務教育を受けられないまま中学校を卒業した場合で、改めて中学校で学び直したいを希望する場合には、夜間中学で受け入れることが適当(義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について)であることから、中学校卒業時には夜間中学の意義や入学要件について生徒および保護者に説明しておくこと と示されています。

2.不登校児童生徒の保護者への支援

不登校は、生徒本人も不安ですが、生徒の保護者の不安も大きいものです。

COCOLOプランでは保護者が悩みを抱えて孤立しないよう、適切な支援や情報を得られるようにすることが重要 と述べられています。教育委員会が域内の相談機関、親の会、フリースクールなどの情報をまとめて提供することを求めています。

不登校になったとき、子どもの心はすでに限界です。家を安らげる場所にしたほうが心の回復は早いものです。そうは思いながらも、保護者の心も不安でいっぱい。「これから一体どうしよう?どうなってしまうの?」と世界から取り残されたような気分になり、子どもに優しくするのも難しい。

保護者への支援は、家族を孤立させず、社会につなげるために、必要不可欠です。これは必ず実現したいと思います。

3.早期発見・早期支援のための関係機関の連携

COCOLOプランでは、児童生徒の変化に早く気付くため、地方公共団体の福祉部局と教育委員会との連携強化を求める と示されています。

具体的には教職員に向けて研修会を行うこと、また詳細の記載はありませんが、発達に特性があるお子さん(文字が読めない/衝動が強い/感覚過敏 等々)についての情報や適切な対応について、学校が受け入れられるようにする、あるいは反対に学校が児童生徒の特性に気付いて福祉につなげる といったことを想定しているものと思います。

やはり行政機関は 横連携が弱い という実態はありますので、半強制的にでも連携をすすめていくのは効果的だと思います。

4.学校の風土の「見える化」

COCOLOプランでは、学校の風土と欠席日数には関連性があることを示す調査結果があることから、学校の風土を「見える化」することで児童生徒が安心して学校生活を送れるような学校づくりが期待できる と述べられています。今後、学校の風土等を把握するためのツールを整理して示すことが予定されているとのこと。

学校の風土の「見える化」とは、なかなかチャレンジングな取り組み…!でも実際に機能したら、とても面白いなと思います。

公立の学校は情報が閉鎖的で、その内実がなかなか分かりにくいものなので、可能な限りオープンにできたら良いですよね。そしてもっと自由に学校を選択できたら良いと思います。そうすることで学校も「変わらなきゃ」と動くようになるんじゃないでしょうか。

まとめ

文部科学省が発表した不登校対策(COCOLOプラン)について内容を紹介しました。

おおむね私は大賛成ですが、さらに追加で対応してほしいのは財源の見直しです。いまは不登校であっても在籍している小学校・中学校に不登校児童分のお金が投入されてしまっているので、それをフリースクールや他の機関に回してほしいと思います。

とはいえ、文部科学省が不登校対策について“学びの環境の整備” “保護者への支援”といったあたりをハッキリと明示してくれたことは大変 喜ばしいことだと思います。

これが机上の空論にならないよう、現場がしっかり機能していくように目を見張り、声を上げていきたいと思います。

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