目黒区出身 公認会計士 目黒の未来を考える

山村 まい -Official Web Site-

目黒区 お金のこと

目黒区はお金持ち?<23区比較>

なんとなく目黒区は裕福な町というイメージがありますが、実際に東京都23区のなかで目黒区はお金持ちなのでしょうか?

①収入総額、②収入のうち自由に使えるお金(一般財源)、③収入のうち自力で稼いでいるお金(特別区税)、④純貯蓄高(貯金から借金を差し引いたもの)の4つの観点で23区比較をしてみたいと思います。

★ここでは目黒区HP「目黒区財政白書2021」と、東京都HP「都区財政調整について令和3年度」の数値を参照します

1人あたり収入額 目黒区

収入総額:目黒区は17位

目黒区のお金(収入と支出の話)にて、収入には、ザックリ5種類ある(① 目黒区が稼いだ税金、② 人口に応じて配分される消費税等、③ 人口・面積に応じて都から貰うお金、④ 特定事業の実施に対して国や都から貰うお金、⑤ その他:①~③が一般財源、④⑤が特定財源)という話を紹介しました

内訳を気にしない収入総額で見ると、令和2年度 目黒区の収入額は 1,466億円。令和3年4月1日における人口 281,093人で割ると、1人あたりの収入額は 52万円 となります。

1人あたり収入額でみると、目黒区は 17位

意外と低いことが分かります。

一般財源:目黒区は14位

収入には、自由に使えるお金(一般財源)、使い道が限定されているお金(特定財源)があります。

1人あたりの自由に使えるお金(一般財源)で見ると、目黒区は 14位 となっています。

収入総額で見るよりは順位が高くなりましたが、それでも意外と低いですよね。

千代田区が突出して高く、1人あたり一般財源は53万円、その後を港区(39.2万円)、中央区(33.4万円)、渋谷区(30万円)が続きます。

特別区税:目黒区は5位

収入のうち、① 目黒区が稼いだ税金、特別区税ではどうなるでしょうか。

令和2年度 目黒区の特別区民税は 477億円。令和3年4月1日における人口 281,093人で割ると、1人あたり特別区民税は 17万円 となります。

1人あたり特別区民税では、なんと 5位

特別区民税をたくさん納めてくださっている方が多い区なんですね。

特別区税は高いのに収入総額が低いのは?

1人あたり特別区税は 5位 なのに、どうして 1人あたり一般財源になると 14位 と低くなってしまうのでしょうか?

それは主に、都から交付されている「特別区財政調整交付金」の影響によるものです。

特別区財政調整交付金とは

・都と特別区の役割分担に応じて市町村財源を都区間で配分する

・特別区間の行政水準の均衡が図れるよう財源を調整する

上記を目的として東京都から各特別区に交付されるお金です。

お金がないから十分な行政サービスができない!という事態を防ぐために、ある程度 23区間の均衡を保てるようにすることも目的のひとつなので、目黒区の順位も変動した というわけですね。

特別区財政調整交付金は、基準財政需要額(人口・面積に応じて必要とみなされる金額)から基準財政収入額(特別区税の見積額:過去3年平均など)を差し引いて算出されます。

面積の小ささという点で、特別区財政調整交付金が少なめになっているのかもしれません。

実際に必要な金額が貰える訳ではない

基準財政需要額は、実際に必要な金額ではなく、人口や面積を単位にして計算されます。

また23区全体に交付する金額は決まっていますので(固定資産税・市町村民税法人分・特別土地保有税・法人事業税交付対象額および固定資産税減収補填特別交付金)、基準財政収入額が ガクッと減っても補てんしてもらえるとは限りません。

ふるさと納税で目黒区の特別区税が減収になってしまっても、他の区も同様に減収してしまうわけですから、特別区財政調整交付金は変わらない(→減収分はダイレクトに響く)という構図になります。

1人あたり純貯蓄高 目黒区

1人あたり純貯蓄高:目黒区は12位

では、純貯蓄高での目黒区はどうでしょうか。

令和2年度末において貯金(積立基金)530億円 から借金(区債)119億円 を差し引いた純貯蓄高は 411億円

1人あたり純貯蓄高は 15万円

23区のなかでみると目黒区は 12位、ちょうど真ん中あたりです。

ここでも千代田区が突出しており1人あたり純貯蓄高は169万円、そして港区(72万円)、渋谷区(46万円)が続きます。

小中学校の建替費用 1700億円

目黒区のお金のこと(貯金と借金)でも紹介しましたが、目黒区は平成24年度から財政健全化を目指して財政運営上のルールを定めて適切な執行に努めてきました。このため現時点においては純貯蓄高は順調な水準になっています。

しかしながら、目黒区の小中学校の8割以上は築50年を経過しており、今後30年にわたって順番に建替えをする必要があります。

現時点の試算は1700億円(※物価高を考慮すると、さらに金額は増えると思います)。

1人あたりで割ると60万円ほどの負担になりますから、単純に足すと純貯蓄高は1人あたりマイナス45万円になってしまいます!!

実際には一度に区債を発行する訳ではありませんし、毎年度の収入-支出の遣り繰りでお金を捻出していくことにはなりますが、目黒区に余裕があるとは言えない状況 だと思います。

まとめ

①収入総額、②収入のうち自由に使えるお金(一般財源)、③収入のうち自力で稼いでいるお金(特別区税)、④純貯蓄高(貯金から借金を差し引いたもの)の4つの観点で23区比較をしてみました。

千代田区が際立ってお金持ちということが良く分かりました。

目黒区も健闘しているものの、自由につかえるお金や純貯蓄高が多いわけではないので、今後も財政健全化を継続していく必要があると思います。

-目黒区 お金のこと

© 2025 山村まい 公式サイト. All Rights Reserved.