目黒区出身 公認会計士 目黒の未来を考える

山村 まい -Official Web Site-

国・東京都の方針

東京都 18歳以下に月5000円給付(所得制限なし)

2023年1月6日

東京都小池百合子知事が1月4日の新年あいさつにて “0~18歳の子どもに月5000円の給付を行う(所得制限なし)” 方針を発表されました。

「日本の出生数が80万人を切ったこと、これに反応しないのは無責任」

「本来は国がやるべきことだと思うが都として行っていく」

「所得制限を設けないのは、子育てに対する罰ゲームになる」

まとはずれな政策を打ち出している国への強烈なメッセージで、子育て世代は「よく言ってくれた!!」と湧き上がっています。

国の少子化対策は何が問題?

では国の少子化対策の何が問題なのでしょうか。

それは「『安定して子育てを支援しますよ!』という姿勢がないこと」に尽きます。

少子化対策やってるでしょ? と形だけのアピールで、本質的なサポートがなく、むしろ子育て世帯の負担が増している。

数年単位で制度がコロコロ変わる。

数年だけでは子どもは育ちませんから、“安定した”サポートがあるかどうかが重要です。

しかし、子育て世帯に「安定したサポートは望めないな…」と静かに絶望させてしまっているのが現状。

年少扶養控除の撤廃

所得税や住民税を計算するときに、所得から控除してもらえるお金があります。

2010年までは0歳~15歳の子どもについては “自力でお金を稼げないから扶養者が面倒を見る必要があるよね” として年少扶養控除38万円の対象でした。

例えば給与で1,000万円稼いでいる会社員であれば、子ども1人あたり年11.4万円ほど所得税と住民税が少なくなっていたのです。

子ども2人いれば年22.8万円ですね。

ところが、この年少扶養控除は2011年より “子ども手当(いまの児童手当)” の導入に伴って廃止されてしまいます。

児童手当の所得制限

年少扶養控除を廃止する代わりに導入されたのが “子ども手当(いまの児童手当)” です。

民主党政権時代に始まった “子ども手当” は自民党政権時に “児童手当” となりました。

0歳以上15歳に到達してから最初の年度末までの子どもに金銭を支給するものですが、金額、支給要件は大きく様変わりしています。

児童手当 最初は所得制限なし

2010年6月~2011年9月までは月13,000円

2011年10月から2012年3月までは3歳未満と小学生までの第3子以降が月額15,000円、3歳から小学生の第2子までと中学生は月10,000円

2012年までは世帯主の所得に制限はありませんでした。

児童手当 平成24年より所得制限 金額減

2012年より所得制限限度額以上の場合には、月5,000円となりました。

他の税額控除などにより変わりますが、おおむね収入額が833万円以上で減額対象になります。

児童手当 令和4年より所得制限 不支給

2022年より所得上限限度額以上の場合には、月5,000円の支給も廃止されてしまいました。

他の税額控除などにより変わりますが、おおむね収入額が1,071万円以上で減額対象になります。

子育て支援どころか負担増

年少扶養控除が廃止され、さらに児童手当に所得制限が設けられている。

つまり、世帯によっては単純に負担だけが増しているのです。

あまりに不合理ではないかと感じている子育て世帯は多いでしょう。

高校無償化も所得制限

平成22年からスタートした公立高校の無償化も、所得制限が設けられています(令和2年から私立高校も支給対象)。

公立高校の授業料 年額118,000円が支給されるものですが、こちらも おおむね世帯年収が910万円で無償化は対象外となります。

障がい者福祉も所得制限

児童福祉法に基づく障害児を対象とするサービスの自己負担額も、所得によって大きく異なります。

おおむね世帯年収が890万円以下であれば、通所で月4,600円。世帯年収が890万円を超えると月37,200円と一気に跳ね上がります。

東京都小池都知事のメッセージ

少子化問題は待ったなしの課題

「日本の出生数は、初めて年間80万人を切る見通しと言われており、社会の存立基盤を揺るがす衝撃的な事態だ」

「もはや一刻の猶予も許されない。都が先駆けて具体的な対策を充実させていく」

月5,000円では意味がない、ただのバラマキだ という批判もありますが、「国はなにしてるの!?一刻も早く少子化の流れを止めなきゃいけないんだよ!!」という強いメッセージとして、国を動かすため重要な意味を持つと思います。

所得制限は子育て罰!

「夫婦で一生懸命働いて、共働きという言葉ももはや死語なのに、あたかも罰を受けているよう」

児童手当の所得制限は、子育て罰だと切り捨ててくれましたね。

まったく その通り。

「子どもを産んだら損になる」と思わせてしまって、一体 誰が子どもを産んでくれるというのでしょうか。

千代田区も児童手当の所得制限にNO!

なお、千代田区も児童手当の所得制限に反対を表明しており、

区独自の制度 “次世代育成手当” として、所得制限で児童手当が廃止されてしまった世帯に対して

児童1人月5,000円の支給を行っています。

大変 素晴らしい取り組みですが、これは財源に余裕のある自治体でないと難しいだろうな とも同時に思います。

※目黒区からは「子育て支援策に係る所得制限を撤廃し、子育て支援の拡充を求める意見書」を国に提言しています。

国も本気に取り組んでほしい

日本の出生数が減るということは、日本の国難です。

ここは国が本気で取り組むべきことでしょう。

東京都からの危機的メッセージを受けて、国の姿勢も変わってほしいと強く願います。

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