2022年12月4日、東京都では初となる異例の再選挙にて森澤恭子氏が品川区長として当選されました。
森澤恭子 品川区区長が選挙で掲げていた公約は「3つの無償化」。
学校給食の無償化、第2子以降の保育料 無償化、高校生医療費の無償化です。
2023年度から実施する方針として当初予算案に計上する予定となっています。
なかなか金額的にインパクトがありそうですね。
学校給食の無償化
学校給食 無償化にかかる金額
学校給食の全国平均費用はこちら(文部科学省 学校給食実施状況等調査 平成30年度結果より)
月額 | 年額 | |
小学校 | 4,343円 | 52,116円 |
中学校 | 4,941円 | 54,351円 |
品川区における児童数は、公立小学校 17,502人、公立中学校 5,161人(2022年4月1日時点)ですので、単純に給食費と人数で計算すると、総額11億9千万円となります。
報道によると令和5年度における学校給食 無償化にかかる金額としては13億円を計上しているようです。
★目黒区ではすでに給食費を一部補助しています。完全無償化を実現するためには追加で年7億円かかる試算となっています(区議会の答弁情報より)
給食費の免除(就学援助制度)
給食費の無償化は全員を対象としていますが、それ以前にも、経済的に困窮している世帯については就学援助制度を利用して給食費を免除してもらえました。
(条件)生活保護を受けている、もしくは、所得上限以下の世帯
世帯人数 | 所得上限のめやす |
---|---|
2人世帯 | 約271~298万円 |
3人世帯 | 約321~385万円 |
4人世帯 | 約369~453万円 |
5人世帯 | 約390~530万円 |
6人世帯 | 約440~587万円 |
こちらは給食費だけではなく、学用品費や郊外教授費、卒業アルバム費などの幅広く対応されています。
第2子以降の保育料 無償化
対象となる保育料
2019年10月から全国で「3歳以降の幼児教育・保育の無償化」となりました。
このため現在では、保育料が発生するのは0~2歳のみ となっています。
もともと品川区の保育料では「第2子の保育料は半額、第3子以降は免除」となっていましたので、今回 森澤区長による無償化の対象は第2子の保育料(半額)となります。
第2子以降の保育料 無償化にかかる金額
令和4年度当初予算における保育料収入は17億6千万円となっています。
そのうちの第2子(半額)の金額は不明ですが、報道によると5億3千万円もの計上となるようです。
★東京都が「第2子以降の保育料 無償化」の方針となったので、品川区としては実質 負担はなくなりました。
高校生医療費 無償化
高校生医療費無償化は品川区だけではない
高校生医療費無償化については、品川区の独自制度ではありません。
東京23区すべての区長で作られる特別区長会が「2023年度から高校生に拡大することを明らかにし、所得制限や自己負担は設けず無償化する」と発表していますので、
2023年度より東京23区すべての区において高校生医療費が無償化されます(所得制限なし)。
※これまでの経緯※
2022年1月 東京都が「子どもの医療費助成の対象を中学生から高校生までに拡大する。高校生の医療費には所得制限を設け、小中高生の通院1回につき上限200円を自己負担とした上で、残りを助成する」方針を表明。
2022年7月 特別区長会にて「所得制限、自己負担は設けない。都の助成でまかなえない分は区の自主財源で負担する」と発表。
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森澤区長 独自の制度ではなく、もともと決まっていた話ということのようです。
無償化にかかる金額ですが、報道によると2億7千万円を計上しているようです。
区長給与と退職 2割削減
また、森澤区長は「区長給与を2割削減する改正条例案を提出する」とも発表しています。
森澤区長だけではなく今後 就任される区長についても、区長給与、退職金いずれも2割削減されることになります。
現在 | 削減後 | 差引 | |
給与(年額) | 2,160万円 | 1,728万円 | 432万円 |
退職金(1期4年) | 2,188万円 | 1,750万円 | 437万円 |
まとめ
品川区3つの無償化を実現するためには、総額で21億円もの金額が必要になります。
子どもの母としてはもちろん無償化は大歓迎です。
しかしながら、今後 継続して年間21億円もの金額を捻出するためには、他の費用(インフラ整備など)を削減する必要があるでしょう。
無償化は一度スタートしたら「やっぱり 中止」というのも難しいもの。
品川区長選後には「目黒区でも3つの無償化を!」という声も聞きましたが、
制度導入にあたっては目黒区の財源を十分に考慮しなくてはならないと思います。